ヒラメの寿命は何歳?

「ヒラメの寿命は何歳ですか?」晴天に恵まれた磯海水浴場で,ヒラメの体験放流中の小学6年生の女の子から素朴な質問が飛び出しました。先生は「10年以上は生きるんじゃないですか。詳しくは漁師さんや専門家に聞いてみて下さい。」と的を得た?答えをしていました。それでは実際のところヒラメの寿命は何歳なのでしょうか。あまり調べられていないというのが事実なのです。
 魚の年齢については,鱗や耳石(脳の近くにある2つの部屋にある)等さまざまな方法で調べられていますが,最近では耳石を樹脂で固め薄片にして断面の輪紋和を観察する方法が用いられています。この方法では,比較的高齢でも輪紋を確認することができるのです。 
 現在水試でもヒラメの年齢と成長の関係を明確にすべく,この方法を用いて県内で漁獲されたひらめの年齢査定調査を実施しています。調査を開始して1年間ですが,興味深い結果がでてきつつあるので,ここに紹介したいと思います。
 ヒラメの成長は,雌雄の差が顕著であることが知られていますが,2・3歳くらいから雌の成長が雄を上回るようになります。これまでの調査の中で,雄の最大は体長で65cm,
体重で3kg,雌の最大は体長で89.4cm,体重
で8kgでした。雄は2s台のものが希に見ら
れる程度で,3kg以上はほぼ100%雌と考え
て良いと思います。それでは最高齢のものは何歳だったと思われますか。ちなみに雄の最大体長65cmのヒラメは8歳,雌の最大体長89.4pのヒラメも8歳と推定されました。
体の最も大きかったものが最高齢と予想される人も多いと思いますが,結果はそうではありませんでした。

先生の「10年以上は生きるんじゃないですか。」という答えを証明するわけではありませんが,これまで10歳以上と推定できる5個体のヒラメを確認できました。
 そして最高齢は雌で13歳(体長78.6p,体重4.7kg),雄ではなんと18歳(体長61.4p,体重2.4kg)という結果を得ました。18歳には私もかなり驚きました。ヒラメの日本長者番付はトップあるいはギネスもんじゃないかと思っているくらいです。
 人間にも体格差があるようにヒラメにもある程度は成長差があるということなのでしょう。デカイほど年を食っているとは限らないのです。何事も見た目で判断してはいけないということを教えられた気がしました。
 それではヒラメの寿命は何歳なのでしょうか。いまのところ「18年以上生きるものもいる。」と答えておきましょう。ヒラメには畳のような大きさで15kg級のものが水揚げさ
れたという例も聞きます。今後も更に調査を継続し,18歳以上を発見したら,またみなさんに報告したいと思います。

(漁業部 厚地)