開始しました。
 この日も前線漁場特有の霧雨の中,朝4時からの操業でしたが、平均尾叉長60.8p/平均体重4.8sのビンナガが43尾(206.3s)漁獲されました。直ちにこれを第3協洋丸の松野下漁労長にインマル電話で連絡したところ,「そこは必ず漁場になる。」と言われました。
 するとこの日の夕方には、周辺の海域にいた29隻全船が,我々の発見した漁場に向かったのが無線(QRY)により確認されました。
 我々は,この漁場での漁獲量や水温調査のために6月19日(土)もこの海域に留まり,各船の集結状況を確認していましたが、唯
一、南方カツオに出漁していた枕崎市漁協所属の2隻のカツオ船を含む残り10隻全船もこの海域への参入が確認されました。
 

効 果
 この漁場は,その後も少しずつ東へ移動しながらもビンナガ漁場が形成され続け,4〜
7sサイズのビンナガを主体に,1日1隻60
トンを最高に,我々がQRYに所属していた6月30日(水)までの約2週間で5,250トンの
ビンナガが漁獲された好漁場になりました。
 この時の焼津市場でのビンナガの平均価格は300円/s以上の高値を維持しており、単純に計算すると,300円/s×5.252トン=
約16億円となります。
 その後もさらに,この漁場は継続し,9月下旬現在も我々が発見した漁場の周辺(北緯41度,東経163度付近)でビンナガの好漁が続いているようです。
 この間,各船は1航海を約1ヶ月で満船
(400トン/隻)操業していることから、漁獲量は,400トン/隻×3航海×39隻=46,800 
≒40,000トン,漁獲金額は,40,000トン×
300円/s=120億円と莫大なものとなります。

 

 ちなみに、今年の3月に水産庁遠洋研究所が主催したビンナガ研究協議会で発表された平成11年度のビンナガ海況予測は,「5歳魚主体に4・6歳魚が加わるが,過去5カ年の平均値25,740トンを下回る可能性が強い。」とのことでしたが,今年の漁獲量はこれを大幅に上回る漁模様となっています。
 
本県船の概況
 枕崎市漁協所属の大型竿釣り船6隻の昨年のビンナガの漁獲量は,7〜10月に前線漁場で1,586トン,一昨年は2,321トンでしたが,今年は6月の約2週間だけで約900トンと昨年の約60%を釣ったことになります。
 その後の9月下旬までの漁獲量を集計すると,6,031トンと昨年の3.8倍,漁獲金額は約
17億円になります。
 これは,昭和56(1981)年以降では、過去
最高のビンナガの漁獲量となっています。
 終わりに
 サバヒー(ミルクフィシュ)については,輸送中の死亡もほとんど無いことやビンナガの餌食い状況(胃内容物から確認)活餌としての適正も高いことがわかりました。
 このように,今年は「さつなん」から「くろしお」に代わって以来,久しぶりにビンナガの好漁に恵まれ,また,新しい漁場の発見やサバヒー(ミルクフィッシュ)の活餌試験も成功し,私とクルー一同,ホッとした調査になりました。
 来年も大型竿釣船(499トン)の半分の大きさの260トンの「くろしお」で頑張りますので,大型竿釣船の皆さん,期待していてください。 
  

    (漁業部 奥原)