平成11年度ビンナガ魚群調査

  船 出
 平成11年度のビンナガ魚群調査は,平成11年6月8日(火)〜7月2日(金)の25日間にわたり,漁業調査船「くろしお/260トン」により実施しました。
 昨年の私にとっては,学生時代の実習航海以来の長期航海であり,また,初めてのビンナガ調査ということもあり,いろいろな意味で大変でしたが,今年は2回目ということで余裕を持っての出港でした。とは言え,出港当日はあいにくのどしゃ降りで,見送りの人達が気の毒に思われるほどのずぶ濡れの中での出港式になり,少々気の重たい船出となりました。
 前日に活餌試験のために全長70oほどの
サバヒー(ミルクフィッシュ)を約3,000尾
積み込み,さらに雨がしょぼ降る中,桜島の古里沖の漁場で活餌のカタクチイワシをバケツ90杯積み込み,昼過ぎにはいよいよ前線漁場である三陸沖を目指して東沖にコースを向けました。

 誓 い
 昨年は,南方カツオの漁模様及び価格が良かったことやビンナガの調査時期が5月と早過ぎたこともあって,結局,漁場を発見するどころか,私はビンナガ(トンボ)の顔を拝むことさえできませんでした。
 鹿児島県の漁業調査船としては,昭和44年度から調査を開始して以来,その功績により過去に3回全国遠洋鰹漁労通信連合会から表彰を受けたことがありますが,それも平成4年度の「さつなん」を最後に「くろしお」に代わって未だ無い状態で,今年の私とクルーの闘志は昨年とは明らかに違ったものでした。
 また,例年でしたら宮城県・静岡県水試の調査船や静岡・三重県の水産高校の実習船も一緒に前線漁場の調査を行うのですが、調査日程の関係で,今年のこの時期の調査は本県水試の「くろしお」1隻だけというのも闘志を掻き立てたれた理由の一つでした。

 漁場の発見
今年は5月中旬に伊豆列島付近にビンナガ漁場が早々に形成されたため,いつもなら
ば,まだ南方カツオに出漁しているはずの大型竿釣船39隻中37隻が既に北上してきてい
ましたが,我々が出港する頃には漁模様が下火になっていたため,各船は漁場の探索に血眼になっていました。
 そんな中,鹿児島を出てはや1週間,6月14日(月),枕崎市漁協所属の第3協洋丸の松野下漁労長から「くろしお」の東船長に無線電報があり,北緯39度,東経152〜153度付近
の調査を依頼され,早速,我々は調査に向かいました。
 ところが,第3協洋丸の方が一足先にこの海域に到着したため,我々はこの漁場の発見には至りませんでしたが,この海域は1週間で4〜10sサイズのビンナガが約3,000トン
漁獲された好漁場となりました。
 我々も6月16日(水)には,この漁場周辺で,平均尾叉長66.6p/平均体重7.0sのビ
ンナガを2回の竿釣りで約1.2トン(175尾)漁獲しました。
 我々は,その後,(社)漁業情報サービスセンターからFAXで送られてくる沖合表面水
温図を参考に,北緯38度,東経158度付近に
19℃台の表面水温が移動し,次のビンナガ漁場が形成されるのではないかと予測し,6月
18日(金)からこの海域で曳縄による調査を
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